新型コロナ感染の爆発的拡大が止まらない。それに対し、政府は感染拡大をくいとめ、国民の命を守るための実効性のある具体策を何ら、取れていない。

野党はすでに7月16日に、感染拡大に対処するため、法改正も視野に入れた国会での議論が急務であるとして臨時国会の開催を求めたが、政府はその要求を受け入れず、国会は閉じたままである。

この事態に関し、赤羽国交相の「内閣には国会開催の権限がない」というツイートが話題を呼んでいる。(この赤羽大臣の言葉は当然、全くの間違いであるが。)

赤羽大臣 憲法無視の「内閣は国会ひらけない」発言に“勉強しろ”と呆れ声

(日本国憲法・第53条)内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。 いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

記事には「憲法を勉強しろ」とあるが、現役の大臣が「憲法を知らない」ということは考えにくい(国会議員には憲法尊重義務がある、と99条に明記されている。憲法を知らなければ、国会議員として失格である)。むしろ大臣の発言にあるように「臨時国会の開催時期やその期間などについては、与野党の国対委員長間で話し合いが行われ、実施されてきたのが慣例」という「慣例」の方が憲法の原則よりも重視されてきた、ということだと思う。

今の日本の政治の最大の問題点は、この例のように政府自身が憲法を無視し、政界の「慣例」といった前時代的な政権運営・国会運営がまかり通ってきたことにある。本来なら、国の「最高法規」である憲法に従って政治が行われなければならないのに、その原則が全くないがしろにされているのだ。

憲法は国家権力を縛ることで、その横暴・暴走から市民と社会を守ることに意義がある(立憲主義)のだから、憲法を無視する政治のもとでは、市民の権利は守られず、結果として社会(市民の命と暮らしを守る共同体としての枠組み)が壊されていく、ということになりかねない。民主主義社会の市民はその意味で、憲法を無視する政権とは徹底してたたかっていかなくてはならないのだ。

今の政治で起こっているさまざまな問題は、まさにこの「憲法が守られていない」ことによって引き起こされている、と社民党は考える。

たとえば、このコロナ禍において、非正規労働者を中心とした多くの人々が「雇止め」などで生活の困難に直面している。それに対し、憲法25条で保証されている「健康で文化的な最低限度の生活」を守るための具体的な政策(生活支援策)は全く不十分と言わざるを得ない。

憲法で規定されている、私たち市民の権利と自由、生活を守るためのさまざまな条文を生かし、具体的な政策として実現することこそ、政治がまず第一にやるべきことである。そこでまず必要なのは「公助」の充実であり、菅首相の主張する「自助」ではない。(新型コロナのパンデミックという非常事態を、どうやって「自助」で乗り切れるのか?)

また、コロナ感染者の爆発的増大に伴い、感染しても入院できず、「自宅療養(現実には、何らの医療が提供されない状態で放っておかれるわけだから、自宅放置である)」を強いられる方たちが東京都だけでも3万人を超える事態となっている。新型コロナは軽症でも症状が急変することがあり、このような「自宅療養者」の中から、すでに何名もの方が命を落とされる、悲惨な状況になっている。

この問題に対して、医師会などを含む多くの専門家・有識者の間から「緊急の医療施設を作り、そこに医者・看護士などの医療資源を集中することによって、自宅で放置するのではなく、できる限り早期に医療介入を行って重症化を防ぐ」、いわゆる「野戦病院」方式の緊急施設の設置・運営が提言されている。しかし、現時点では政府も東京都・神奈川県など首都圏の自治体においても、具体的な検討は進んでいないようである。

実は、この「緊急の医療施設」については、「新型コロナ特措法」にきちんと規定がある。

(臨時の医療施設等)
第三十一条の二 都道府県知事は、当該都道府県の区域内において病院その他の医療機関が不足し、医療の提供に支障が生ずると認める場合には、その都道府県行動計画で定めるところにより、患者等に対する医療の提供を行うための施設(第四項において「医療施設」という。)であって都道府県知事が臨時に開設するもの(以下この条、次条及び第四十九条において「臨時の医療施設」という。)において医療を提供しなければならない。

法律で「しなければならない」とされているのだから、「自宅療養者」の急増で通常の医療機関が不足している現在の事態にあっては、このような臨時の医療施設を用意することは、東京都をはじめとする自治体行政の「義務」であり、現在の事態は「法律違反」と言われても仕方がない。

菅首相は緊急事態宣言拡大・延長の記者会見で、入院できない自宅療養者のために「酸素ステーション」を設置する、と述べたが、この「酸素ステーション」というものはあくまでも入院までの緊急的な措置を行う施設であり、もっとも大切な、重症化を防ぐための治療(点滴・投薬など)はできない。このような中途半端なものを作るのではなく、先述の「野戦病院」方式の臨時医療施設を作らなければ意味がない、と多くの専門家が指摘している。

政権に憲法をきちんと守らせ、憲法に規定されている「国や自治体の義務」を実現させる政治こそ、私たち主権者を守る、主権者が望む政治だと社民党は考える。憲法無視・法律違反を続ける政治をやめさせ、本当に私たちのいのちとくらしを守ることのできる政治を実現するために、来るべき選挙に勝利し、政権交代を実現させよう!

(2021.8.19)