衆議院総選挙2日目。本日は、社民党の2021総選挙公約の中から、最初の項目「いのちを救え!緊急対策」について説明したい。

新型コロナ感染の第5波では、急激な感染者数の増加によって医療が実質的に崩壊し、多くの感染者が感染しても入院ができず「自宅療養を強いられる」という、まさに前代未聞の事態を招いてしまった。

「国民がだれでも、必要なときに必要な治療を受けられる」という、これまで日本が世界に誇ってきた国民医療制度が、実質的に崩壊してしまったのだ。

この事態に驚いた菅政権は、あろうことか「中等症以下は原則、自宅療養」という、にわかには信じがたい方針を打ち出し、これは当然ながら、政権与党の自民党内部からも強い批判を浴び、方針撤回に追い込まれた。このような、コロナに感染して症状が悪化するかもしれない、という不安に直面した国民を実質的に「見捨てる」政府の無責任・無能なありさまに、国民の多くが反発し、そのことが菅政権の終焉を招いた、ともいえるだろう。

昨年来の新型コロナ感染症拡大と、それに対処するアベ・スガ政権の合理性を欠いた、ゆきあたりばったり、後手後手と常に言われ続けた政府の対策を見ると、長年続いてきた自公政権というものは、平時にはこれまでの「既得権調整型」とも言える政権運営でもなんとかなるかもしれないが、このような社会的危機に対しては、全く対処能力を持っていない、と考えざるを得ない。

つまり、今回の新型コロナ感染拡大という危機に対処するための「危機管理能力」を、現在の自公政権は全く持ち合わせていない、ということになる。政府の新型コロナ感染症対策「分科会」のメンバーの中に危機管理の専門家がいなかった、ということは以前より指摘されてきたことでもある。

また、新型コロナのような感染症の世界的流行(パンデミック)は、「グローバリゼーション」によって人・モノ・金の国境を越えた流れが巨大化した世界では、数年に一度の間隔で繰り返し、発生しかねないという予想もある。

政治にできることは、このような「起こりうる危機」に対して、合理的・科学的な根拠に基づき、危機とそれが人々に与える「不利益」を最小化するための、実効的な対策を用意しておくことしかない。「危機管理学」の観点からすれば、「常に起こりうる最悪の事態も想定しておく」ことで、そのような場合でも不利益を最小化するための備えや具体的な対策が求められるのだ。

社民党の、このような感染症拡大に対する考え方は、まず「いのちを救う行動は待ったなし」ということだ。社民党の「いのちを救う」緊急対策の提言は、具体的には以下の通りである。

1.あらたな特別給付金10万円を支給
2.自宅療養はNO!緊急に臨時病院を開設
3. 医療・介護態勢の充実
4.自粛・時短営業・休業は補償とセットで
5.住居喪失者に空き家活用対策
6.生活保護を利用しやすい制度へ

政策提言の一つのポイントは、感染拡大しても医療崩壊を防ぎ、必要な人が必要な医療を受けられる体制を準備しておくことにある。また昨年来の感染拡大防止のための飲食・宿泊業などの営業自粛や時短によって、多くの人が解雇・雇止めに会い、生活の困難に直面している。

今年7月の厚労省の発表によれば、全国で11万人以上、非正規が多い女性労働者が特に打撃を受け、女性の自殺率も増大している。このように、現実に困難に直面している人を、まず支援しなければならない。

例えば、雇止めなどで収入を失った労働者がまず直面する困難が、家賃が払えない結果、「ネットカフェ難民」状態になるか「ホームレス」状態になってしまうことだ。生活を立てなおすにも、住む場所があるかどうかでは大きな違いがあるのだ。貧困の問題に現場で取り組んできた社民党だからこそ、5.の「住居喪失者に空き家活用対策」という提言ができるのだ。社民党が新しいポスターで「答えは現場にある」と言っているのは、まさにそういうことである。

6.の生活保護の「利用しにくさ」については、これまで何度も、何度も指摘され続けてきたことだ。今回のコロナ禍において、生活保護制度の「利用しにくさ」の最大の原因として指摘されたのが「扶養親族照会」という受付窓口でのハードルだ。これには法的な根拠は全くないことが、すでに国会答弁で明らかになっている。「生活の困難に直面していることを、親族に知られたくない」という当然の思いが、生活保護を権利として申請する、という当たり前の行為を妨げている。行政の窓口で、この「親族照会」を断ったために保護申請を受け付けない、などということは決してあってはならないのだ。

社民党は、「現場で、困難に直面している人」に寄り添ってたたかっていく政党だ。この理念に共感する多くの市民の支援を得て、元気に政治を変えていきたい、と思う。皆様のご支援をよろしくお願いします!

(2021.10.20)