衆議院総選挙3日目。本日は、社民党選挙公約の「1.いのちを救え!緊急対策」の後半、企業の内部留保と労働者の実質賃金について考えたい。

2021年 衆議院総選挙公約

社民党の選挙公約では、「いのちを救え!緊急対策」の項目の後半で、「3年間消費税ゼロ」政策と、その財源となる企業の内部留保について記している。

経済産業省のリポートによると、新型コロナ感染症拡大による日本経済の損失は対GDP比でマイナス6.1%、約30兆円以上に上ると推定されている。この経済全体の落ち込みを回復し、再活性化するために、またコロナ感染の影響で打撃を受けた家計を立て直す(生活の再建)ためにも、消費税を3年間の限定でゼロとする政策を、社民党は提言している。

日本はバブル崩壊以後、長年にわたりデフレから脱却できない状況が続いてきた。その主要な原因の一つは、労働者の実質所得の減少による個人消費の伸び悩み、その結果としてのGDP成長率の低下にある。日本のGDPの半分以上は個人消費によるものであり、個人消費が伸びなければGDPも伸びない、という関係にある。これは供給に対して需要が足りないことによる典型的な「デマンド・プッシュ・デフレ」である。

このデフレを解消するためには、家計の購買力を増大させ、消費拡大を促す必要がある。それが、社民党が主張する「家計をまず温め、消費を促すことにより経済を活性化させる、ボトムアップの経済政策」だ。これには家計の収入を増やすことと、消費減税などにより、実質の可処分所得を上げることが主な手段となる。収入を増加させる策としては、具体的には「2. 貧困・格差の解消」の項目で取り上げたいが、例えば「全国一律最低時給1500円」を実現し、労働者の収入の底上げを図っていかなくてはならない。この記事では、以後、税制の問題について考える。

「デフレからの脱却」を叫んで始まった安倍政権とそれを継承した菅政権は、「異次元の金融緩和政策」という劇薬を何度も用いながら、結局はデフレからの脱却を実現できなかった。それは、安倍・菅政権が、日本のデフレの本質的な原因を理解せず、財務省など権力内部での力関係で、「消費税増税」という「デフレからの脱却」とは真逆の政策をとってしまったことが主要な原因だ。

税にはさまざまな機能があるが、インフレ・デフレ対策として税を考えるなら、「デフレのときは減税して消費を促す」、「インフレのときは増税して過剰消費を抑える」というのが基本だ。安倍・菅政権はこれの真逆をやってしまったのだから、うまくいかなかったのは当然だろう。(もちろん消費税だけでなく、社会保険料の増加など、デフレにもかかわらず、家計をより貧しくするような政策を続けてきたことも、失敗の原因となっている、と考えられる。)

今回の選挙公約の中で示してあるが、安倍・菅政権の約9年間の間に企業の内部留保は約1.7倍に増え、2020年には484兆円に達している。一方で、OECDの実質所得の推移の国際比較によると、1997年を基準とした2018年の実質所得は-8.2%となっている。この30年間で、実質所得が減少しているのは日本だけで、「成熟社会」と言われる西欧諸国でも、実質所得は同じ期間に約1.5倍に増え、お隣の韓国に至っては2倍以上の伸びを示している。

政治の大きな役割の一つは、「税を誰から取り、どのように使うか」を決めることにある。いわば「貯金されているだけ」で無駄に積みあがった企業の内部留保に3年間課税することで、「3年間消費税ゼロ」の政策を実行するための財源は確保できる、と社民党は考える。

税制の原則は「応能負担」であるべきだ。払える者には応分の負担をしてもらい、それを社会全体の利益のために使うことが必要だ。社民党は、消費税(逆進性が大きな問題)をはじめとして、低すぎる金融所得課税、低くしすぎた法人税を見直すこと(税率だけでなく、さまざまな税法上の大企業優遇策も見直す必要がある)、所得税の累進税率を見直すことなど、今の税制の問題点に鋭く切り込んでゆく。

(2021.10.21)