衆議院総選挙8日目。本日は、社民党選挙公約の「4.ジェンダー平等と多様性社会の実現」に関連して、さらにさまざまな課題について取り上げたい。


昨年来の新型コロナウィルス感染のパンデミック、「コロナ危機」においては、「女性不況」と呼ばれるほど、各国の女性が男性以上に経済的な打撃を受けている。この打撃は、日本においてはさらに顕著である。何故なら、日本では働く女性の半分以上が非正規労働者であり、このような社会的・経済的な危機にあっての「雇用調整弁」となっているからだ。コロナ禍によって、多くの女性が解雇・雇止めにより貧困状態に陥り、その結果、2020年の自殺者数は前年に比べて男性は0.2%減少したのに対して、女性は15.4%も増加しているのだ。

この背景には、男女の賃金格差の問題もあるが、それ以外にも女性にばかり負担が偏った子育て・介護の状況、コロナ禍でのDVや性暴力の増加、などの問題がある。

このような意味で、社民党はコロナ対策においてもジェンダーの視点を取り入れるべきだ、と考える。たとえば、コロナ禍によって収入が減ったひとり親世帯や低所得世帯に対して、緊急の生活支援特別給付金の支給、といった対策が必要だ。

コロナ危機への対策として、2020年春に全国民一律10万円の「特別定額給付金」が支給されたが、支給が世帯単位で行われたため、DV被害者の女性や子供が直接、給付金を受け取れないという問題が生じた。これは税制や社会保障制度など、さまざまな行政が「世帯単位」になっているために起こってくる問題だ。このような問題を解決するには、根本的な「考え方」を変える必要があると思われる。

日本国憲法が保障しているさまざまな権利は、原理的に(独立した人格を持つ)個人に対して保障されるものであり、「世帯(家族)」が対象ではない。社民党は、税制・社会保障制度などを世帯単位から個人単位に改め、人格の独立と個人の権利を確立してゆく。憲法の理念を活かすならば、さまざまな社会の制度は基本的に個人単位であるべきだ。

真の男女平等を実現するには、女性が経済的に自立することが必要だ。男女の賃金格差の是正、保育施設を充実させて女性が働きやすい環境を整えること、女性に極端に偏った家事労働・子育ての状況を是正すること、などさまざまな課題に取り組むことにより社民党は、「男女の経済的格差の是正」、「雇用における男女平等」の実現をはかっていく。

上記の、家事労働の負担が女性に偏っているという問題は社会的に大きな、構造的な問題であり、これを変えていくためには、多くの努力を必要とする。男性が家事労働を公平に負担できるよう、企業への働きかけも必要だし(残業が多くて家事を負担できないといった状況を変えていかなくてはならない)、より数字として成果を確認しやすい政策目標の例として、男性の育児休暇取得率の向上なども追及すべき課題だ。この問題については、解決すべき課題は山ほどある。

さらに、社民党が長年取り組んできた課題として「選択的夫婦別姓」制度の実現がある。今回の総選挙での、重要な争点の一つであり、世論の関心も高い。
公示前日の党首討論で、「選択的夫婦別姓」に賛成かどうかを問われて、自民党の岸田首相だけが手を挙げなかったことは、記憶に新しい。

2020年、参議院での上川法相の答弁によれば、夫婦の姓について「同姓」を強制しているのは日本だけで、多くは「選択的別姓(アメリカ、イギリス、ドイツ、ロシアなど)」または「原則別姓(フランス、韓国、中国など)」制度となっている。また、日本の「同姓」制度は実質的に男性側の姓の強制になっており、差別的であるから改善すべき、と国連からは何度も勧告を受けている。

反対派の中には「家族の絆が壊れる」などという人もいるが、そのような事実を証明するデータはなく、説得力がない。そもそも「選択的」なのだから、同姓を選びたい人はそちらを選べばよいわけで、
2021年9月21日に「弁護士ドットコム」で発表された最近の世論調査によると、「賛成」44.2%と「どちらかといえば賛成」19.1%をあわせて63.3%の人が「導入に賛成」しているという状況だ。

党首討論で「反対」は自民党だけなのだから、今回の総選挙で政権交代ができれば、この「選択的夫婦別姓」の実現に大きく近づくことになる。日本のさまざまな問題を解決するために、今こそ政権交代が必要なときだ。社民党は「生存のための政権交代」を目標にかかげて、この総選挙を全力でたたかっていく。

(2021.10.26)