米中間選挙は上院を共和党が死守したものの、下院は民主党が奪還。トランプ政権に打撃を与えた。トランプ政権にとっては、国内政策のかじ取りが難しくなり、(上院の過半数のみで進めることのできる)外交・軍事の面でより強硬な路線を取ってくるのではないか、日本に対しても外交・通商分野で無理難題を仕掛けてくるのではないか、などといったことがもっぱら、報道されている。

一方、特にTVのニュース番組などではほとんど取り上げなかったが、今回の中間選挙の結果で真に注目すべき点は、女性議員の増加とLGBTなどマイノリティ議員の当選ではないだろうか。この点、東京新聞はさすがに、かなりの紙面を割いて8日の朝刊で取り上げている。

米中間選挙 下院、女性最多 イスラム教徒、最年少、LGBT当選

意外に思われるかもしれないが、アメリカの女性議員比率は先進国中では低い方だ(日本よりはもちろん、高いが)。例えば以下のサイトを見ると、アメリカは19.7%で101位となっていて、ヨーロッパ諸国に比べてかなり見劣りがする。

世界の女性議員割合 国別ランキング・推移

今回、「トランプ効果」で女性議員比率が大幅に改善されたことはちょっと皮肉ではあるが、トランプのような差別主義的な大統領が一定の支持を保っている一方で、それに対する反発もこのように強力に表れてくるところは、アメリカの民主主義の底力を見る思いがする。

中間選挙に関連した別の報道によれば、近年のアメリカでは、特に若年層で「社会主義的な政策を支持する」人が「資本主義的な政策を支持する」人よりも多くなった、という世論調査が出ているという。「資本主義の盟主、アメリカでそんなことが起こるとは」という感もあるが、考えてみればこれは世界的な潮流だ。世界では、グローバリゼーションがもたらす格差・貧困に対して、極右的なポピュリスト政党が支持を伸ばす一方で、イギリス労働党の躍進などに見られるように、社会民主主義的な勢力も支持を伸ばしている。

グローバルな資本主義が必然的に生み出す、様々な矛盾が解消されない限り、いつでも、どこでも、このような闘いは起こるだろう。格差・貧困や極右ポピュリズムに厳しく対峙する思想こそ、社会民主主義だ。我々は日本における唯一の社会民主主義政党として、「平和・自由・平等・共生」の社会民主主義社会を実現するため、社会民主主義の価値を広く市民に訴えていかなくてはならない。今回の米中間選挙の結果を見て、それを改めて強く思う。

(2018-11-8)