衆議院総選挙5日目。本日は、社民党選挙公約の「2.格差・貧困の解消」の中で、「教育の無償化」政策について説明したい。


公約にも書かれているように、いまや学生の半分以上が「奨学金」を受給しながら就学している、という状況だ。「奨学金」というと聞こえは良いが、卒業後、一定の期間で返済しなければならず、金利も(上限は決められているが)かかるのだから、これは実質的には奨学金ではなく、「学生ローン」だ。

その結果、「奨学金」を利用して教育を受けた若者たちは、卒業の時点で平均300万円もの「借金」を抱えて社会に出る、という状況になっている。日本の未来を作っていく若者たちの多くが、「負債」を抱えて社会人としてスタートを切る状況は、どう考えてもおかしいのではないか?

どうしてこうなっているのか。最も根本的な問題は、日本の教育への公的支出が少なすぎる、ということだ。

世界の公的教育費対GDP比率 国別ランキング・推移

この国際比較表では日本は3.1%で113位。3位のノルウェーの7.91%に比べると半分以下だ。公的教育費支出が少ない分、日本では家庭の教育費負担が大きいことになる。高度成長期のように、家計にある程度の経済的余裕があった時代はそれでも何とかなったが、昨日も書いたように非正規労働の増加もあって、30年以上にわたって実質賃金が下がり続けている。その結果、教育費の負担に耐えられない家庭が増え、高等教育を受けたいという意欲のある学生は「奨学金」を受給しながら就学するしかない、という状況になっていると考えられる。

社民党は、現在の「奨学金」制度を真の意味での奨学金(つまり給付型で返済不要な奨学金を基本とする)制度に変えていく。
すでに「奨学金」返済で苦しんでいる若者を救うために、「返済の一部免除」といった対策も必要だ。このような政策を実現することによって、生まれ育った環境や家庭の経済状況に左右されることなく、学ぶ意欲のあるすべての若者が教育を受けられる社会を、社民党はめざしていく。

また、社民党は国際人権規約(社会権規約13条)に規定された「高等教育の無償化」を推進していく。

<社会権規約13条2>
(c)高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

日本は1979年に国際人権規約を批准したが、2012年までは「無償教育の漸進的な導入により」の部分を留保していた(つまり、無償教育の導入に努力しなくてよい、ということ)。2012年にこの留保を撤回したので、「高等教育の無償化」はすでに国際公約となっているわけで、言い訳はもはや通用しない。

教育は国家・社会の未来を決める重要な要素だ。教育をおろそかにする国に未来はない。未来のために税の使い方を決めることは、政治の大きな役割だ。アメリカからの武器の爆買いをやめ、防衛費の無駄な増大にストップをかけ、教育への公的支出は大幅に増大させるべきだ、と社民党は考える。

(2021.10.23)