衆議院総選挙6日目。本日は社民党選挙公約の3番目の項目「環境との共生」について、その中でも特に原発問題についてふれたい。
2021年 衆議院総選挙公約
2018年3月9日、社民党、立憲民主党、共産党、自由党(当時)の野党4党は「脱原発基本法案」を衆議院に提出した。法案の全文は、以下の衆議院のサイトで読むことができる。
脱原発基本法案(2018年3月9日、第180回通常国会にて提出)
この法案のポイントは以下の5つである。
1.すべての原発を速やかに停止し、法律施行後5年以内に廃炉を決定する。
2.再稼働、新増設・リプレースは認めない。
3.使用済み核燃料の再処理・核燃料サイクル事業を中止する。
4.省エネルギー・再エネルギー利用を進める(具体的には2030年に再生エネルギー40%以上)。
5.原発稼働停止・廃炉に伴う立地自治体の雇用・経済については、国が責任をもって支援する。
東電福島原発事故によって原発の「安全神話」は完全に崩れ去った。震災から10年を経てもなお、福島には337平方キロメートルにおよぶ「帰還困難地域」が残っている。福島の事故を受けて、ドイツをはじめとする諸国は脱原発に舵を切ったが、当事国である日本は(自公政権は、というべきだろう)、いまだに原発に固執し続けている。その結果、野党4党が議員立法として提出した脱原発基本法(原発ゼロ基本法)は、今に至るまで、一度も衆議院で審議されていない。
政府と電力会社は、脱原発基本法を全く無視しているだけでなく、今年6月の関西電力美浜3号のように、原子炉の寿命とされる40年を超える老朽化した原発を、次々と再稼働しようとしている。
世界有数の地震多発国である日本で52基もの原発を作ってしまったこと自体、エネルギー政策の失敗といわざるを得ないが、いまや世界が「脱原発・再生可能エネルギー」の方向に舵を切っている時代であるにも関わらず、原発に固執する政権を続けていたら、エネルギー産業の分野でも大きく世界に遅れをとってしまう。
社民党が脱原発を主張する理由にはもちろん、事故の危険性や保管場所さえ決まらない放射性廃棄物の問題もあるが、エネルギー政策の長期的なビジョンを描きたい、ということもある。
太陽光発電など再生可能エネルギー分野では、日本は1973年の「第一次オイルショック」を背景に「サンシャイン計画」といった研究・技術開発が始まり、当時は技術的にも世界の最先端を走っていた。ところが、東電福島原発事故以後、世界が再生可能エネルギーに舵を切る中、原発に固執し続けてきたために、技術的にも世界に大きく遅れをとってしまった。たとえば太陽光パネルなどの技術開発・生産については中国の勢いがすさまじく、日本の太陽光パネルでは競争にならない状態だという。
技術競争の結果、太陽光パネルの発電コストも大幅に下がり、2018年時点で最安値は2円/キロワットを切る。それに対して原発の発電コストは10円以上/キロワットと、すでに全くたちうちができない状態だ。純粋に経済的に見れば、原発をこれ以上続けることには何の意味もない、と言い切れる。
ちなみに世界の再生可能エネルギーの設備容量は2017年時点で1000ギガワットに迫り、世界にある全原発の総設備容量の2.5倍に達している。再生可能エネルギーの方が、今やエネルギーの主体なのだ。
これだけの経済的なデメリット(安全性だけでなく)や、世界の潮流に反しても、現政権が脱原発に舵を切れない理由は「原子力ムラ」という巨大な利権集団の存在だろう。(もう一つ、プルトニウムを保持することで、潜在的な核開発の可能性を残す必要がある、という理由もあると言われているが、これについては本記事では詳述する紙幅がない。)
今の政府が続くなら、この「原子力ムラ」利権の構造はそのまま続き、脱原発は実現できないだろう。脱原発を実現するには、この総選挙で自公政権を過半数割れに追い込み、政権交代を実現して、「脱原発基本法」を速やかに成立させる他はない。
脱原発社会を作るために、政権交代を実現させよう!
(2021.10.24)
2021年 衆議院総選挙公約
2018年3月9日、社民党、立憲民主党、共産党、自由党(当時)の野党4党は「脱原発基本法案」を衆議院に提出した。法案の全文は、以下の衆議院のサイトで読むことができる。
脱原発基本法案(2018年3月9日、第180回通常国会にて提出)
この法案のポイントは以下の5つである。
1.すべての原発を速やかに停止し、法律施行後5年以内に廃炉を決定する。
2.再稼働、新増設・リプレースは認めない。
3.使用済み核燃料の再処理・核燃料サイクル事業を中止する。
4.省エネルギー・再エネルギー利用を進める(具体的には2030年に再生エネルギー40%以上)。
5.原発稼働停止・廃炉に伴う立地自治体の雇用・経済については、国が責任をもって支援する。
東電福島原発事故によって原発の「安全神話」は完全に崩れ去った。震災から10年を経てもなお、福島には337平方キロメートルにおよぶ「帰還困難地域」が残っている。福島の事故を受けて、ドイツをはじめとする諸国は脱原発に舵を切ったが、当事国である日本は(自公政権は、というべきだろう)、いまだに原発に固執し続けている。その結果、野党4党が議員立法として提出した脱原発基本法(原発ゼロ基本法)は、今に至るまで、一度も衆議院で審議されていない。
政府と電力会社は、脱原発基本法を全く無視しているだけでなく、今年6月の関西電力美浜3号のように、原子炉の寿命とされる40年を超える老朽化した原発を、次々と再稼働しようとしている。
世界有数の地震多発国である日本で52基もの原発を作ってしまったこと自体、エネルギー政策の失敗といわざるを得ないが、いまや世界が「脱原発・再生可能エネルギー」の方向に舵を切っている時代であるにも関わらず、原発に固執する政権を続けていたら、エネルギー産業の分野でも大きく世界に遅れをとってしまう。
社民党が脱原発を主張する理由にはもちろん、事故の危険性や保管場所さえ決まらない放射性廃棄物の問題もあるが、エネルギー政策の長期的なビジョンを描きたい、ということもある。
太陽光発電など再生可能エネルギー分野では、日本は1973年の「第一次オイルショック」を背景に「サンシャイン計画」といった研究・技術開発が始まり、当時は技術的にも世界の最先端を走っていた。ところが、東電福島原発事故以後、世界が再生可能エネルギーに舵を切る中、原発に固執し続けてきたために、技術的にも世界に大きく遅れをとってしまった。たとえば太陽光パネルなどの技術開発・生産については中国の勢いがすさまじく、日本の太陽光パネルでは競争にならない状態だという。
技術競争の結果、太陽光パネルの発電コストも大幅に下がり、2018年時点で最安値は2円/キロワットを切る。それに対して原発の発電コストは10円以上/キロワットと、すでに全くたちうちができない状態だ。純粋に経済的に見れば、原発をこれ以上続けることには何の意味もない、と言い切れる。
ちなみに世界の再生可能エネルギーの設備容量は2017年時点で1000ギガワットに迫り、世界にある全原発の総設備容量の2.5倍に達している。再生可能エネルギーの方が、今やエネルギーの主体なのだ。
これだけの経済的なデメリット(安全性だけでなく)や、世界の潮流に反しても、現政権が脱原発に舵を切れない理由は「原子力ムラ」という巨大な利権集団の存在だろう。(もう一つ、プルトニウムを保持することで、潜在的な核開発の可能性を残す必要がある、という理由もあると言われているが、これについては本記事では詳述する紙幅がない。)
今の政府が続くなら、この「原子力ムラ」利権の構造はそのまま続き、脱原発は実現できないだろう。脱原発を実現するには、この総選挙で自公政権を過半数割れに追い込み、政権交代を実現して、「脱原発基本法」を速やかに成立させる他はない。
脱原発社会を作るために、政権交代を実現させよう!
(2021.10.24)